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ミーティング進行の攻略

執筆:2025年02月12日

はじめに

SPY✖️FAMILYにはこんな会話が出てきます.
ロイド:「もちろん私の監督責任なのですが,子供を完璧にコントロールすることなど不可能だと痛感しました.自分の子だから支配できるなんておもったらダメですね.勝手な期待や失望ばかりでよろしくない.いや本当子育てってむずかしいですね.」
デズモンド:「君は正しい.血のつながった子であろうが所詮は他人.他人を真に理解するのは不可能だ.人と人は結局永遠に分かり合えん.」
ロイド:「(だから他国を武力でねじ伏せるのか?それがお前の本質かデズモンド)全くその通りですね.私は精神科医をやっているのですが,患者さんの心なんて実は1割もわかってあげられてないんじゃないかなって.(そうだな“話せば分かる”は理想論だ)理解できるなんて思う方が傲慢なのかも.(だが)大切なのはそれでも歩みよる努力です」

SPY✖️FAMILY シーズン1エピソード25 - 【MISSION:25】 接敵作戦(ファーストコンタクト)

ミーティングの真髄はこれに詰まっていると私は思っています.恋人たちは別れ,親子は喧嘩し,身内とも縁を切ったり,人と人が理解しあうことは無理難題であることに日々の生活で気づかされます.そんな無理難題でも条件をつければ少し難易度が下がる気もしませんか.たとえば,ただ一つの目的を共有し,その目的を達成するためにのみ話し合うとしたらどうでしょう.無理難題だったものが,難題へと変わるかもしれません.ミーティングとは,自分以外の価値観を創造物に注ぎ込み,よりよいものを生み出す行為にほかなりません.だからこそ,人(社会)に還元するための行為には,「歩み寄ろうとする努力」が不可欠です.人と人が分かり合えないことを私たちは知りながらも,ルールやマナーといったものの上に不器用ながらに社会を形成して,人が人に還元してお互いを支え合っています.ミーティングはまさにその縮図なのかもしれません.この記事では,ミーティングを進行する際の自分なりの攻略方法を記します.

と子育ても仕事もしたことない一学生が,自分の浅い経験から学んだことを書いてみます.自分のための記録としても残しておきます.

そのミーティングは本当に必要か

ミーティングの価値は,言語化しづらい参加者の意見や意志を決定に反映させることにあります.研究ミーティングにおいては,先生や同僚(参加者)の意見が,発表スライドの修正や研究方針の変更(決定)に反映されるべきです.またPBLにおいては,同僚(参加者)の意見や意志が,プロジェクトの目的設定や役割分担などの決定に反映されるべきでしょう.つまり,他人の意見によって決定が変更されることのない命題においては,ミーティングは不要です.さらに,ミーティングを行うことで効率が悪化する場合も,実施する必要はないと思っています.日程調整やミーティングの準備にかかる手間に加え,参加者の拘束時間に対するコストが,ミーティングによって生み出される成果よりも明らかに大きいと試算される場合,ミーティングを開く価値はありません.具体的には以下のものがあげられます.

ミーティングをする価値がないもの

ミーティングをすることによって効率が悪くなるもの
しかし,ミーティングは生み出される成果を事前に予測しづらいからこそ実施するものでもあります.よって,試算される成果や効率を無視してでもミーティングを選択したほうがいいことがあります.特に,相手の潜在的な意見を引き出したい場合,相手の意見を否定しなければならない場合,または妥協案を提示する必要がある場合には,ミーティングを開くことが望ましいでしょう.これらの状況では,単なる伝言では意見や意図が十分に伝わりにくいため,直接の対話が有効です.

小さな司会のすすめ

私が政治・経済を勉強してた時に“大きな政府”と“小さな政府”の話がでてきました.大きな政府とは「ゆりかごから墓場まで」を代表する,政府が経済活動に大きく介入するような政府です.小さな政府はその逆で,経済への介入を最低限にする政府をさします.これに倣って,本記事では議論や進行にたくさん介入する司会を「大きな司会」,最低限介入する司会を「小さな司会」とします.

うまい司会ほど,司会っぽくない.というのは,みんな薄々気づいている気がします.うまくいったミーティングほど,MVPを選びにくいですよね.それは全員が「歩みよる努力」を発揮したからで,全員の意見を決定に注ぎ込めたからです(仮に誰かの意見が否定されても,否定されたという価値が注ぎ込まれている).これから分かるように,目立たない小さい司会が好ましいと私は思います.大きな司会には以下のデメリットがあるからです.

大きな司会は,参加者の発言になんらかのプレッシャーを与えることが多いです.参加者の発言を促すためにも司会の介入は最小限にするべきで,私はその介入は「時間と目的を管理すること.」のみであるべきだと思います.目的を時間内に達成する.必要であればその度に「目的を共有する」「議論を延期させる」「議論を終わらせる」という行為をすることが司会が介入するべきことだと思います.大した仕事ではないので,こんなことは「私が司会やりたいです!」といってやることではく,「じゃあ時間管理担当します.」で良いと私は思っています.つまり,参加者全員が時間と目的をしっかり認識しながら話せば,司会の仕事はひとつもない.というのが私の考えです.

目的を共有する

ミーティングに参加しているのに,何をしているのかよく分かっていないという人をよくみかけます.その人は何をしているのか,もしくはなんのためにしているのかよく分かっていないため,発言をしない傾向にあります.それだと,ミーティングの目的を達成できません.目的を始めに共有しおきましょう.また,目的から遠い議論が起こった時にも目的を再度示し直すと良いでしょう.そうすることで,時間内に目的を達成しやすくなります.

具体的には始まる時にこういうことを言うと良いと思います.これくらい目的と時間を明確にすることで参加者は余計な話をしづらくなります.「今回のミーティングでは〇〇分後に〇〇の決定を目指します.そのために,〇〇について15分議論して〇〇について15分議論します.」

時間をきめる

時間通りに終わらせるためだけではなく,目的を達成するためにも時間の設定は必要だと思います.時間を決めずに始まったミーティングは,結局なにも決まらずに終わることが良くありました.し,全く関係のない雑談で何倍もの時間を費やすことがよくあります.終わりがわからないミーティングよりも終わりが分かるミーティングの方が頑張れる気がしますよね.

記録を残す

“伝えたいことのほとんどは伝わらない.それに加えて,ほとんどのことはすぐ忘れる.”

この我々の特性はミーティングにおいては厄介です.議事録を残すこと.話す言語と書く言語の2つで意思疎通を行えるので,コミュニケーションエラーを減らせる.また,ミーティングにおいて良く起こる「言った言っていない論争」を減らせる.さらに,“続く”議論を進めやすく,WeeklyミーティングやMonthlyミーティングもそれにしたがって,議論を展開できます.

みんなの集中力を維持する

これは参加者全員で作り上げる雰囲気です.普段の授業でもそうですが,60分とか90分とかの長時間集中するのは厳しいです.それだけ長いミーティングになれば,いかに“聞いてるようにみえるか”にエネルギーをさく人もいます.個人的にはどんなミーティングでも45分以内で目的を設定して終わらせるのが理想だと思います.

ミーティングを始める前から45分では不十分であると思うなら,短くてもいいので休憩を挟むスケジュールにすること,休憩があることと,終わる時間をあらかじめ共有しておくこと.基本15分以上同じ議題についてしっかりと考えることはできないので,15分おきでいいので,みんなを笑かすことが言えたり,話を逸らさない程度の短い雑談をいれたり,お菓子をたべたりでもいいので,ホッと一息つくことが大事かなと思います.

あと,集中力が切れた人はわかりやすいので,時々参加しているか確認したり,臨機応変に休憩をとったり,意見をいいやすい環境にしてみたり,自分が間違ったことをしていないかを確認すると良いと思います.

萎縮させない

司会者の心構えというより,参加者としても心構えです.ミーティングは一人ではできないし,身内だけでできないことも多いです.多種多様な人間と行うことも多いだろうし,それがミーティングのメリットであるとも思います.先輩・後輩・同僚・先生,いろんな立場・役割・年齢の人と行うことがあるだろうし,行うべきでしょう.そうした時に必ずといって起こるのが,萎縮です.

参加者を萎縮させないために緊張をほぐし,自分が意見を選別する敵ではないことを証明し続けること.意見を言ってもらえるようにラフに振る舞うこと.参加者の発言機会の配慮はずっとすること.特定の人とだけで話を進めないこと.6人が参加しているミーティングなのに2人でずっと話ているみたいなものをよく見かけます.それをするなら,残りの人は拘束しないこと.それだけ置き去りに議論を展開していると,他の参加者を萎縮させるし,意見を言いづらくなる.全員の時間を拘束しているので,全員に参加してもらうように努力する.特定の人たちだけで会話を繰り広げ,周りを置いてけぼりにしないこと.

発言してもらえない時は,,,それでも「自由意志」を尊重する.ミーティングにおいて発言を強制されるほど,いやなことはないでしょう.頑張ってその人の意志を汲み取って臨機応変にしてみること.発言を強制した参加者は,本人の意志ではなく,まわりに合わせる意見や,支障のない意見,誰も否定しない意見を選びがちです.

会議で全員が成長する

会議を通して,プロジェクトが前進すればそれ以上の成果はない.かと思うかもしれませんが,会議を通して,チームワークを学ぶ.ことも大事な成果のひとつです.特に我々が行うようなミーティングは学生を巻き込むことが多く,PBLなんかは内容よりもこちらが目的として強いと思います.妙中先生の指導方針を見ている限り.そのためにできることはこんなことでしょう.

おわりに

参加者が目的に沿った意見を素直に言ってくれる.これがどれだけ難しいか.うまくいかないことの方が私は多いですが,それでもあまり落ち込まないようにしています.ミーティングがうまくいかなかったからって,あまり落ち込みすぎないこと.なんせよ人と人とが自然言語を媒体に意見交換して,誰も傷つかずに意見をひとつに集約するという奇跡みたいなことをしようとしているのだから.そんな難しさに立ち向かうことも不思議と楽しかったりするものです.本稿がなにかしらの形で少しでも皆様のためになれば幸いです.